この記事の結論
・しんどさの原因が「条件」か「大事にしているものの違い」かで、道は変わります
・原因を見極めないまま動くと、次の園でも同じことが起きます
・働きながらの転職活動は大変です。でも、始めるなら今日は登録だけで十分です
はじめての方は保育士を辞めたいと思ったら|5ステップの進め方もあわせてどうぞ。
辞めるか、続けるか。
迷っているとき、先に求人票を開いてしまう人は多いと思います。
でも、その前に確かめてほしいことがあります。
あなたがしんどいのは「条件」なのか、それとも「大事にしているものの違い」なのか。
この一点です。
私は大規模な保育園で17年働き、そのあと小規模保育園の園長を7年務めました。
辞めたいと相談される側にもいました。
その両方から言えるのは、この2つは対処法がまったく違うということです。
保育士が辞めるか迷うとき、条件と方向性を分ける
「もう限界です」と言葉にするとき、中身はだいたい混ざっています。
人が足りない、持ち帰りが多い、休憩がない、先輩が怖い、園長と合わない。
全部まとめて「辞めたい」になります。
でも、この中には園を変えれば変わるものと、変わらないものがあります。
混ざったまま動いてしまうと、次の園でも同じところでつまずきます。
条件がしんどいなら、保育士は園を変えると変わることがある
私が最初に勤めた大規模園には、休憩時間そのものがありませんでした。
午睡の時間は研修や会議、行事の準備に充てられ、昼食もほとんど食べられません。
それを、私は17年間「保育士とはそういうものだ」と思っていました。
理由は単純で、比べる相手がいなかったからです。
学生時代の友人は数年で辞めていき、長く勤めている保育士が周りにいませんでした。
当時はネットで他の園の様子を知ることもできません。
私は、一つの園しか知らなかったのです。
小規模園に移って、初めて1時間の休憩がありました。ところが、休憩の取り方が分からない。
15年以上「職場で仕事をしない時間」を過ごしたことがなかったので、
最初の数年は休憩中も仕事をしていました。
条件は、園によってここまで違います。
もし今しんどいのが働き方の部分なら、それはあなたの頑張りが足りないのではなく、
その園の仕組みの問題かもしれません。
規模で保育はこんなに違う|大規模園と小規模園の本音で、その差を具体的に書いています。
ただし、環境を変えれば全部解決するわけではない
ここからは、相談を受ける側だったときの話です。
小規模園はクラスが2つ、園児は10人ほどでした。
クラス分けはしていても、半日は結局みんな一緒に過ごします。
ですから「担当を替えましょう」といった園内の調整は、現実的にはほとんどできません。
私が提案できたのは、系列園への異動でした。
企業が運営する保育園だったので、園ごとに勤務時間も保育の内容も勤務地も、働く人も違います。
環境を変える手段としては、かなり有効なはずでした。
結果はこうです。
異動を勧めても「そこまでして続けたくない」と辞めていった先生がいました。
正直、辞めてほしくない先生でした。
一方で、異動していった先生もいました。
けれどその先生は、異動先でも同じことを繰り返していたと聞きました。
この2つを見て、私はようやく気づきました。
しんどさの原因が場所や制度ではなく、その人と職場の噛み合わせそのものにある場合、
場所を変えただけでは何も変わらない。
私は「異動すれば何とかなる」と思っていた側でした。そこは、園長としての私の甘さでもあります。
大事にしているものが違うと、話し合っても戻らない
私自身が園長を辞めたのも、条件が理由ではありませんでした。
私は、園児を真ん中に置いて考えていました。
同時に、先生たちが働きやすい職場にしたいとも思っていました。
その両方を大事にしているつもりでした。
けれど、いつからか職員との間に、何を一番大事にするかのズレが生まれていきました。
同じ言葉を使っていても、指しているものが違う。会議で決めたことが、現場では別のかたちになる。
園全体に、少しずつ不穏な空気が漂うようになりました。
話し合いはしました。何度もしました。
でも、そのときにはもう気持ちが冷めきっていて、元には戻りませんでした。
条件のズレは、話せば埋まることがあります。制度は変えられるからです。
けれど大事にしているものの違いは、話し合っても埋まりません。
どちらかが自分の大事なものを捨てない限り、変わらないからです。
私は、捨てられませんでした。だから辞めました。
保育士の転職活動は、比べる材料を手に入れる作業
ここまで読んで、「原因を見極めろと言われても、比べる材料がない」と思った方もいるはずです。
17年間、比べる相手がいなかった私と同じです。
その材料を手に入れる方法があります。転職活動です。
大事なのは、「転職」と「転職活動」はまったく別物だということ。
転職は、実際に園を移ることです。転職活動は、情報を集めて比べることです。
転職活動をすると、こんなことが分かります。
- 今の自分の給料が、経験年数に対して適正なのかどうか
- 近隣の園が、実際どういう条件で募集しているのか
- 休憩や持ち帰りが、他の園ではどう扱われているのか
- 今の自分が、どのくらい必要とされる人材なのか
ここで大事なのは、調べた結果「今の園のほうが良かった」という結論もあるということです。
それは失敗ではありません。むしろ収穫です。
今まで「よそはもっとマシなのでは」と思いながら働くのと、
「調べた上で、ここが一番いい」と分かって働くのとでは、
同じ職場でも気持ちがまったく違います。納得して残る、という選択肢が手に入ります。
転職そのものにはリスクがあります。
実際に移ってみないと、良かったかどうかは分かりません。
もしかしたら今の園のほうが良かった、ということもあり得ます。
でも調べるだけなら、失うものはありません。
登録しても応募しても、今の職場に連絡がいくことはありません。
働きながらの保育士の転職活動は、正直しんどい
ここまで書いておいて、正直なことを言います。
働きながらの転職活動は、思った以上に大変です。
私もやりました。仕事で疲れきって帰った夜に、求人を見て、書類を書いて、面接の日程を調整する。
よほど切羽詰まっていないと、そこまでの気力は出ません。不平不満はある。
でも、動くにはパワーがいる。その両方が本当のところだと思います。
だから「簡単ですよ」とは言いません。しんどいです。
それでも、あのとき踏ん張った自分がいたから、今の私がいます。
精神的にも体力的にも限界に近いなかで、それでも仕事の合間に動きました。
あのとき踏ん張った私を、褒めてあげたいです。
ですから、今日は登録だけでも構いません。求人を眺めるだけでも構いません。
一度に全部やろうとしないでください。
疲れている人が、疲れている状態のまま進められる分量から始めれば十分です。
ひとつだけ先に伝えておきます。
エージェントに登録すると、たいてい早い段階で電話がかかってきます。
在職中の方は、登録のときに「日中は仕事中で電話に出られないので、メールで連絡をください」と
伝えておくと楽です。連絡が取れる時間帯を書いておくのもいいと思います。
最初にこれを伝えておくかどうかで、その後のやり取りのしんどさがかなり変わります。
仕組みから先に知っておきたい方は、
保育士転職エージェント、使う前に知りたいことを読んでからでも遅くありません。
保育士が辞めるか迷ったときに確かめる3つのこと
迷っている段階でできることを、3つに絞ります。
1. 不満を紙に全部書き出して、2つに分ける
「制度・仕組みのこと」と「人・価値観のこと」に線を引いて分けます。
頭の中では混ざっていたものが、書くと分かれます。
2. 制度側が多かったら、転職活動で他の園の実態を調べる
休憩は取れているか、持ち帰りはあるか、有給は申請できるか。求人票では分かりません。
見学や面接で直接聞いてください。
元採用担当が教える|人を大切にする園の見分け方に、見るべき場所をまとめています。
3. 同じ違和感が、前の職場にもあったかを思い出す
もしあったなら、園を変えても同じことが起きる可能性があります。
ここだけは正直に見てください。いちばん大事な確認です。
まとめ|保育士の転職活動はしんどい、それでも動いてよかった
辞めるか続けるかは、二択に見えて、実は二択ではありません。
条件がしんどいなら、環境を変えることで保育士を続けられます。私自身がそうでした。
大事にしているものが違うなら、残っても消耗するだけです。
そして、その見極めに必要な材料は、転職活動をすれば手に入ります。
大変です。でも、やった分だけ確実に材料が増えます。
調べた結果、残ると決めたなら、それも立派な答えです。
気持ちの整理がついた方は保育士を辞めたい≠保育が嫌い|環境を変えて知ったことへ、
動くためのお金の話は独身40代、固定費見直しで月5万円を辞める軍資金にへ進んでください。
※この記事は、私が経験した園での話です。園の方針も人も、それぞれ違います。
あくまで一つの視点として読んでいただければと思います。
