園長が保育室に入る園、入らない園|元施設長の話

▶︎ はじめて来られた方は 保育士を辞めたいと思ったら|5ステップの進め方 から読むと、
全体像がつかめます。

この記事の結論

園長が保育室に入っているかどうかで、園の空気は変わります。
私は施設長時代、保育をするためではなく見守るために保育室へ入っていました。
それでも私は、最後まで続けられませんでした。

園長が保育室に入る園と、入らない園。
私は施設長だった7年間、あることを意識していました。

この記事では、なぜそうしていたのか、そしてそれが何を可能にしていたのかをお話しします。
あわせて、最後まで続けられなかった正直なところも書きます。



もとえん先生

記事を書いた人:もとえん先生

✔️ 保育士歴20年以上・施設長経験7年

✔️ 大規模園〜小規模園まで幅広く経験

✔️ 採用担当として面接する側も経験

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目次

園長室にいるだけでは、園のことは分かりません

私は最初から、保育室に入る園長でした。
理由はひとつで、園長室にいるだけでは現場の様子が分からないからです。

報告は上がってきます。けれど報告は、誰かの目を通ったあとの情報です。
話で一方的に聞くだけでは、見えないものが必ず残ります。

だから、時間ができれば保育室に入っていました。
ただし、保育はしません。入るのは、あくまで見守り役としてです。

担任の先生が保育を進めている横で、私は子どもたちの様子と、先生たちの様子を見ていました。
自分の目と耳で、園の中を確かめていたのです。

自分の目で見ていたから、保護者にお詫びができました

この習慣が、いちばん効いた場面があります。
園でトラブルが起きたときです。

子どもの怪我でも、子ども同士のことでも、保護者にお伝えしなければならない場面は必ず出てきます。
そのとき、報告を聞いただけの状態でお詫びをするのと、その場の空気を自分で見ていた状態で
お詫びをするのとでは、伝えられることがまったく違います。

「どういう流れでそうなったのか」「そのときその子がどんな様子だったのか」。
自分の目で見ていれば、言葉に実感が乗ります。保護者の方に対して、責任を持って頭を下げられる。

そして何より、担任ひとりにその場を背負わせずに済みます。

伝えることは、全員に。口にしたことは、必ず残す

現場に入ることと同じくらい、意識していたことがあります。
情報を全員が持っている状態にすることです。

保護者向けの掲示物は、貼って終わりにはしませんでした。
新人の先生に限らず、職員全体に声をかけて共有していました。
保護者から質問されたときに「知りません」と答えることになるのは、その先生にとってつらい場面だからです。

もうひとつは、口頭で伝えたことを必ず引き継ぎノートに書き留めることです。
「言った」「聞いていない」が起きると、そのあと人間関係にまで尾を引きます。
記録は、誰かを責めるためではなく、余計なしんどさを現場に持ち込まないためのものでした。

それでも、私は最後まで続けられませんでした

ここは、正直に書きます。

後半になるにつれ、保育について私が目指していたものと、現場で進んでいたものとの間に、
少しずつズレが出てきました。
保育室に入ると、そのズレが空気として感じられるようになりました。

そうなると、足が向きにくくなります。
入る回数が減り、滞在する時間も短くなり、そのぶん意思疎通の機会も減っていきました。
話す機会が減れば、ズレはさらに広がります。

現場に降りる園長でいたはずの私が、いちばん最後には現場に入れなくなっていた。
そして私は、退職を選びました。

そのときに何を考え、どう決めたのかは「園長やめます|決断の裏側と準備のすべて」に書いています。

あなたの園の園長は、どちらでしょうか

ここまで読んで、ご自分の園の顔が浮かんだ方もいるかもしれません。

園長が保育室に入る園と、入らない園。
どちらが正しいという話ではありません。園の規模や体制によって、入りたくても入れない園長もいます。

ただ、担任ひとりに保護者対応を背負わせる園なのか、一緒に立ってくれる園なのか。
この違いは、日々の働きやすさにはっきり出ます。転職を考えるとき、
求人票には決して書かれない部分でもあります。

見学や面接で園を見るときのポイントは「保育士転職「良い園」の見分け方」にまとめています。

また、園長や先輩の関わり方について線引きに迷っている方は
指導とハラスメントの境界線」もあわせてご覧ください。

まとめ

私が7年間続けたことは、そう複雑なことではありません。

保育室に入って、自分の目と耳で確かめる。
伝えることは全員に伝える。口にしたことは記録に残す。
そして、担任ひとりに背負わせない。

それでも私は、最後まではやりきれませんでした。
だからこそ、園長が現場に入るというのは、
続けようと思って続けられるものではないのだと思っています。

なお、ここに書いたのはあくまで私が見てきた範囲の話です。
園や法人によって体制は本当にさまざまであることは、申し添えておきます。

「今の環境が合っていないだけかもしれない」と感じた方は
保育士を辞めたい≠保育が嫌い|環境を変えて知ったこと」もぜひ読んでみてください。






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この記事を書いた人

保育士歴20年以上、施設長経験7年。面接・採用・退職、保育士のキャリアの節目を現場の内側から見てきました。きれいごとだけでなく、正直な想いを綴っています。

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