▶︎ はじめて来られた方は 保育士を辞めたいと思ったら|5ステップの進め方 から読むと、
全体像がつかめます。
この記事の結論
園長が保育室に入っているかどうかで、園の空気は変わります。
私は施設長時代、保育をするためではなく見守るために保育室へ入っていました。
それでも私は、最後まで続けられませんでした。
園長が保育室に入る園と、入らない園。
私は施設長だった7年間、あることを意識していました。
この記事では、なぜそうしていたのか、そしてそれが何を可能にしていたのかをお話しします。
あわせて、最後まで続けられなかった正直なところも書きます。
園長室にいるだけでは、園のことは分かりません
私は最初から、保育室に入る園長でした。
理由はひとつで、園長室にいるだけでは現場の様子が分からないからです。
報告は上がってきます。けれど報告は、誰かの目を通ったあとの情報です。
話で一方的に聞くだけでは、見えないものが必ず残ります。
だから、時間ができれば保育室に入っていました。
ただし、保育はしません。入るのは、あくまで見守り役としてです。
担任の先生が保育を進めている横で、私は子どもたちの様子と、先生たちの様子を見ていました。
自分の目と耳で、園の中を確かめていたのです。
自分の目で見ていたから、保護者にお詫びができました
この習慣が、いちばん効いた場面があります。
園でトラブルが起きたときです。
子どもの怪我でも、子ども同士のことでも、保護者にお伝えしなければならない場面は必ず出てきます。
そのとき、報告を聞いただけの状態でお詫びをするのと、その場の空気を自分で見ていた状態で
お詫びをするのとでは、伝えられることがまったく違います。
「どういう流れでそうなったのか」「そのときその子がどんな様子だったのか」。
自分の目で見ていれば、言葉に実感が乗ります。保護者の方に対して、責任を持って頭を下げられる。
そして何より、担任ひとりにその場を背負わせずに済みます。
伝えることは、全員に。口にしたことは、必ず残す
現場に入ることと同じくらい、意識していたことがあります。
情報を全員が持っている状態にすることです。
保護者向けの掲示物は、貼って終わりにはしませんでした。
新人の先生に限らず、職員全体に声をかけて共有していました。
保護者から質問されたときに「知りません」と答えることになるのは、その先生にとってつらい場面だからです。
もうひとつは、口頭で伝えたことを必ず引き継ぎノートに書き留めることです。
「言った」「聞いていない」が起きると、そのあと人間関係にまで尾を引きます。
記録は、誰かを責めるためではなく、余計なしんどさを現場に持ち込まないためのものでした。
それでも、私は最後まで続けられませんでした
ここは、正直に書きます。
後半になるにつれ、保育について私が目指していたものと、現場で進んでいたものとの間に、
少しずつズレが出てきました。
保育室に入ると、そのズレが空気として感じられるようになりました。
そうなると、足が向きにくくなります。
入る回数が減り、滞在する時間も短くなり、そのぶん意思疎通の機会も減っていきました。
話す機会が減れば、ズレはさらに広がります。
現場に降りる園長でいたはずの私が、いちばん最後には現場に入れなくなっていた。
そして私は、退職を選びました。
そのときに何を考え、どう決めたのかは「園長やめます|決断の裏側と準備のすべて」に書いています。
あなたの園の園長は、どちらでしょうか
ここまで読んで、ご自分の園の顔が浮かんだ方もいるかもしれません。
園長が保育室に入る園と、入らない園。
どちらが正しいという話ではありません。園の規模や体制によって、入りたくても入れない園長もいます。
ただ、担任ひとりに保護者対応を背負わせる園なのか、一緒に立ってくれる園なのか。
この違いは、日々の働きやすさにはっきり出ます。転職を考えるとき、
求人票には決して書かれない部分でもあります。
見学や面接で園を見るときのポイントは「保育士転職「良い園」の見分け方」にまとめています。
また、園長や先輩の関わり方について線引きに迷っている方は
「指導とハラスメントの境界線」もあわせてご覧ください。
まとめ
私が7年間続けたことは、そう複雑なことではありません。
保育室に入って、自分の目と耳で確かめる。
伝えることは全員に伝える。口にしたことは記録に残す。
そして、担任ひとりに背負わせない。
それでも私は、最後まではやりきれませんでした。
だからこそ、園長が現場に入るというのは、
続けようと思って続けられるものではないのだと思っています。
なお、ここに書いたのはあくまで私が見てきた範囲の話です。
園や法人によって体制は本当にさまざまであることは、申し添えておきます。
「今の環境が合っていないだけかもしれない」と感じた方は
「保育士を辞めたい≠保育が嫌い|環境を変えて知ったこと」もぜひ読んでみてください。
